真空管アンプは、とにかくデカイ音を出さないと歪んでくれない。 しかし音がデカ過ぎると家では使えない。 50WのアンプをMAXボリュームなんてとんでもない。5W前後の超小型アンプですら、ボリューム2~3でも住宅密集地や夜なら苦情が来るレベル。 なんとかアンプのボリュームを上げつつ、出てくる音量は下げたい、ということで、アッテネータという製品があるわけですが。
これまでなんとなく 「アッテネータ」 と言う名称でひと括りにしてしまっていましたが、厳密に言うと、機能的には (1)ダミーロード (2)アッテネーター (3)エキストラクター (4)マイクシミュレーター (5)ダイレクトボックス の5種類に分けられます。 (1)はアンプからの出力をスピーカーの代わりに全面的に受けるもので、スピーカーを接続せずに無音で使えるようにするものですね。真空管アンプはスピーカーを繋がず無負荷で使用すると壊れてしまうので、無音で使う場合もダミーロードを接続する必要があります。(トランジスタアンプは無負荷でも問題ないそうです。) これは、エネルギーを熱に変換して消費してしまう抵抗器ですね。極端に言うと、電熱線を使ったストープやコンロに使われている電熱線みたいなものです。(実は電熱線(ニクロム線)はオーディオ用のダミーロードとしては悪くないらしいです。) アンプの出力はかなりの電力があるので、ダミーロードに使われる抵抗は非常に高温になりますので、それに耐えられる高容量の抵抗が必要となり、また放熱にも気を使う必要があります。 (2)も(1)と同じ抵抗器なのですが、こちらはスピーカーを接続して使用します。(1)がアンプの出力を全て受け止めなければならないのに対して、必ずスピーカーを接続して使うのが前提なので、(1)ほど高容量の抵抗器を必要としません。
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(3)は、アンプからのスピーカーへの出力から、ラインレベルの信号を取り出す機能です。スピーカーに向かって大変高い電力が送られていますので、そこから分岐して微量の信号を取り出して上げれば良いわけですね。(これは割りと簡単に作れるようで。⇒アッテネータ作ってみた) (4)は、(3)で取り出したままのラインレベル信号というのはスピーカーを実際に鳴らしてそれをマイクで録音した音とはかなり違ったものになってしまうため、それをイコライジングしてマイクで録音したかのように変える機能です。これを使えば、マイク録りをせず直接ライン信号を録音することができるわけです。 (5)は(3)と同じような機能ですが、バランス化して出力するDI(ダイレクトボックス)機能があるかどうかですね。 (3)と(4)を同時に持つもの、(4)と(5)を同時に持つもの、(3)~(5)の機能すべてを持つものがあります。
ギターアンプ用に市販されている製品では、(1)だけというのは少なく、主に(2)の機能を中心に、その他の機能の一部だけ(あるいはすべて)持っているモノが多いですね。 有名な製品は下記のようなものがあります。
- ・Koch Dummybox
- ※ダミーロード・アッテネート・ダイレクトボックス・エキストラクター・マイクシミュレートと、すべての機能搭載
- ・JET CITY Jettenuator
- ※ダミーロード・アッテネート・ダイレクトボックス・エキストラクター・マイクシミュレートと、すべての機能搭載
- ・MESA BOOGIE CAB CLONE
- ※ダミーロード・マイクシミュレート機能付き(アッテネート機能なし=無音でもスピーカーを繋いでも使用可能だが音量を下げる機能はない)
- ・Crews Manic Sound GB-VI
- ※ダミーロード・アッテネート・エキストラクター機能付き(マイクシミュレート機能なし)
- ・EX-PRO DM-X
- ※世界唯一のトランス式アッテネーター/アッテネート・エキストラクター機能付き(ダミーロード・マイクシミュレート機能なし)
- ・Palmer PDI-03
- ※ダミーロード搭載・スピーカーシミュレータ付
- ・THD Hot Plate
- ・ADA GCS-2 ギターキャビネットシミュレーター
- ※ダミーロード機能なし、アッテネート機能なし、キャビネットシミュレータ付エキストラクター(ダイレクトボックス)
- ・Hughes & Kettner RED BOX
- ※ダミーロード機能なし、アッテネート機能なし、キャビネットシミュレータ付ダイレクトボックス
- ・MOOER Micro DI
- ※ダミーロード機能なし、アッテネート機能なし、キャビネットシミュレータ付ダイレクトボックス
- ・RIVERA (リベラ)Rock Crusher
- ・MARSHALL POWER BRAKE
- ※アッテネート機能のみ
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