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映画「トランセンデンス(Transcendence)」

エンターテイメント・アート

【映画】トランセンデンス(Transcendence)

 2014年4月

◇キャスト

  ジョニー・デップ   レベッカ・ホール   モーガン・フリーマン   ポール・ベタニー

◇概要

いわゆるアシモフ博士の言うところの『フランケンシュタイン・コンプレックス』系のストーリーですね。 コンセプト・設定自体は、どこかで聞いた既出のアイデアの組み合わせですが、アクションものではなく、大人しめの味付けで、一味違った作品になっています。 ややシニカルな風刺的な部分も。 死に瀕した科学者が、自分の知性・人格をすべてコンピューターにアップロードして、死後もコンピューター/ネットワークの中で生き続け、理想の社会を築こうとするが、それに恐怖したFBIとテロリストに攻撃を受ける。 ↓↓↓ストーリーは下へ(ネタバレ注意)↓↓↓
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◇ストーリー

ウィルとその妻エヴリンは、量子コンピュータを使ったAI、独立型人工神経回路ネットワーク(PINN)を開発していた。 『科学の奴隷め!!』 予算を得るためのプレゼンテーションの会場でウイルはRIFT(人間を超えた知性を作り出そうとする研究に反対するテロリスト組織)の襲撃を受ける。 テロは各地のAI研究者たちを狙って同時多発的に行われ、ウィルの同僚ケイシー博士も死んだ。 撃たれたウィルは一命はとりとめたものの、銃弾にポロニウム(猛毒の放射性物質)が混ぜて有る事が分かり、残り数週間の命と宣告されてしまう。 『テロで殺されるなんて・・・』 実は死んだケイシー博士は数か月前に猿の脳のデータをコンピュータにアップロードする実験に成功していた。 夫を哀れんだ妻エヴリンは友人の科学者マックスに手伝ってもらい、ケイシー博士の方法を利用して死にゆく夫の頭脳をコンピュータに転送することを試みる。 ほどなくウイルの肉体は死ぬが、その後AIとして蘇る事に成功した。 『ネットに接続したとたん、ネット上の全コンピュータに自身のコピーを作る』 PINN計画は停止したが、コアプロセッサーがいくつか持ち出されている事を知ったテロリストは、AIとなったウィルの入っているコンピュータを破壊するため、マックスを拉致しエヴリンの居場所を突き止め襲撃する。建物の電源を切断されるが、間一髪、ウィルはネットに接続し脱出する。 ネット上から膨大なデータにアクセスできるようになったウィルは、テロリストたちに見つからない町にエヴリンを誘導、株で大金を手に入れ、理想都市の建設に乗り出す。 コンピュータの中で精神が開放されたウィルは目覚ましい能力を発揮し、人間の幹細胞を含む、あらゆるものを高速に修復するナノマシンを発明する。 ウィルは強盗に襲われ死にかけた工事責任者マーティンは、ナノマシンを使って治療、回復させたが、修復するだけでなく強化もしており、彼は超人的な能力を発揮するようになった。 『これで触れられる』 『 No ! , I Can't ! 』 さらに、彼はネットワークでウィルと意識を共有していることをエヴリンに明かすが、驚いたエヴリンに拒否される。 RIFTが隠し撮りしたマーティンの動画をネットに公開、ウィルはそれを故意に拡散させ、体に障碍を持つ者が治療を求めて集まってくるようになる。 歩けなかったものは車いすが不要になり、目が見えなかったものは見えるようになった。ウイルに治療された人々は、障碍が回復し、超人的な能力を発揮するようになり、また常にネットに接続して、独立していながら集団意識に繋がっている状態となった。 『ここから逃げろ』 旧友であるFBI捜査官ドナルド・ブキャナンとジョセフ・タガー博士が施設を見学に来訪、ウィルと再会するが、帰り際、タガー博士はエヴリンに「逃げろ」と書いたメモを渡す。 FBIはウィルが私設軍隊を作ろうとしていると判断、誘拐されていたマックスはテロリストと手を組み、米軍・テロリストが手を組んで、コンピュータ・ウィルスをウィルに注入し殺すことを計画する。 エヴリンは苛立ちウィルと口論になるが、そこに米軍とRIFTが砲撃を開始、深追いしたマーティンがネットから切断され、奪われる。 マーティンの血液を分析し、ウイルスを作成されることを察知したウィル、しかしエヴリンは人間と戦わないようにウィルを説得する。 『戦わない、人間を超越する』 ウィルはナノマシンを雨雲に乗せ、世界にばら撒き始める。 ナノマシンを使ったクローン技術?により、ウィルが肉体を持って復活しようとしていることを知ったエヴリンは、基地を飛び出し、米軍/RIFTに拉致されてしまう。 『マーティンは数か月前に死んだ、人間の部分は残っていない』 「マーティンになにをしたの?!」 『人間性を戻した』 マーティンを殺したことで激昂するエヴリンだったが、雨水の中のナノマシンを見せられ、やがてウィルが世界を支配すると説得される。 エヴリンは自分の体にウイルスを注入し、自分をアップロードさせる事でウィルスをウイルに注入する作戦を提案する。 基地に戻ったエヴリンは、クローンの肉体を持って復活したウイルと再会、作戦通り自分のアップロードを要求するが、エヴリンの体調をモニタしていたウィルは、エヴリンが自分を恐れている事を見抜き、基地に入れようとしない。 それを見て痺れを切らせた米軍が砲撃を開始してしまい、エヴリンも被弾、大怪我を負ってしまう。 エヴリンを基地内に運び込むウイル。 砲撃により太陽電池パネルが損傷するが、ナノマシンにより即座に修理を行う。ウイルにコントロールされた村人が攻撃隊の妨害を始め、同時にナノマシンにより攻撃隊を拘束する。 エヴリンがまだ居るのに攻撃を始めたのを見てマックスは車に乗って走り出す。 それを追ったRIFTの女リーダーはマックスに銃を向け、はやくウイルスをアップロードするよう、ウィルを脅す。 ウィルは、エネルギー不足によりエヴリンの体の治療とアップロードを同時に行う事が出来ないと答える。 しかし、エヴリンがマックスの命を助けるようウィルに話す。 ウィルはエヴリンの体に触れ、血を手に付ける(ウイルスを取り入れた?) エヴリンの体にウィルのナノマシンが進入したのか、ウイルが夢見ていた世界をエヴリンも見る事に。───それは、エヴリンが思い描いていた理想の世界であった。 『ウィル、あなたなのね?』 『ずっとそうさ』 『疑ってごめんなさい』 基地内に駆け込んできたマックスが、抱き合い息絶えた二人を発見する。 ウイルスはネットワークにつながった世界中のコンピュータを破壊し、世界は大停電に見舞われ、電気が使えない世界となる。 ウイルの作ったナノマシンは、かつてのウイルのラボの庭にわずかに残り、ヒマワリの花を咲かせていた。。。

◇感想

なんか、色々、気になる(笑) そもそも、人間の精神活動と同等かそれ以上の能力を有するコンピュータは未だ実現していない。仮に、それは量子コンピュータによってそう遠くない将来実現するとしても、一番の難関は、人間の脳からすべてのデータを取り出すその方法ではなかろうか? コンピュータと人間を接続して知識・人格などのすべての情報のやり取りをする技術は、当分実現は難しいのではなかろうか? また、ナノマシンが唐突に出てきて、一瞬にして機械を修理し、人間を治療し、スーパーマンに改造してしまうのにも違和感が。それができるなら、もっと巧妙にやれば世界征服だってできてしまう、凄い技術なのに(笑) しかし、それについてはさらっと描かれて特に話は膨らまない。 ナノマシンは、治療はできてもスーパーマンにする必要はなかったんじゃなかろうか?そのせいで少し子供じみた設定になってしまった。力持ちにもならず、怪我も治るにしても、回復には時間がかかる設定にしたほうがリアリティのある大人のドラマになった気が。。。 また、物語の中で、AIとして蘇ったウイルはウイルではない、人間ではない別の化け物だと決めつけが前提になっているが、ハイテクに対するアンチテーゼの物語かと思いきや、作品の中では一貫してウイルは暴走と言うほどの事はなく、むしろ愛情のある善なる存在として描かれておる。むしろ正義のためと言いながら、暴力に訴えて止めさせる、テロリストはもとより、FBIや米軍までもが同類の悪であるかのような印象を与える。 恐怖のネットワーク・コンピュータと戦うヒーローの物語ではなく、そのコンピュータのほうが主役である、という意味においては、今までにないアイデアの作品かもしれない。 自分たちの考えを押し付けるために暴力に訴えるテロリストのやり方は絶対に許されないわけで、怒りすら湧いてくるわけだが、なぜかあまりそこは糾弾されない。あげく最後は科学者マックスもテロリストに参加、FBIと米軍がテロリスト組織RIFTと共闘するという、あまりに非現実的な状況には、違和感しかない。 非常な暴力的手段を用いて科学者を殺し、マックスを暴力的に誘拐し長期間監禁していたテロリストの女リーダーが、米軍とともに正義面して攻撃隊に参加しているのが違和感を通り越して滑稽でさえある。 滑稽と言えば、マックスがエヴリンを説得するシーンが、あまりの説得力のなさに噴出してしまいそうなほど。 なんであれでエヴリンが説得されたのかがまったく理解できない。 「私は人間の脳をデータ化しようとしたが、失敗した。人間の感情は矛盾に満ちていて、マシンとは折り合えない。」 それはあなたが無能だっただけでは・・・??? 「彼を止められるかしら・・・?」 え?!なんでそうなるの???? てかマックスは「あれ」をウィルとは認めていないわけですが。 話が噛み合ってないままでは??? このマックスという人物、物語の冒頭から違和感があった。彼は最初からAIを否定する立場であり、エヴリンを説得する段ですら、AIに宿った人格「あれ」はウィルではないという決めつけから一歩も動かない。 そもそも、反テクノロジー組織であるRIFTは、マックスの書いたテクノロジーが発達すると人類に危機が訪れるという論文を読んで影響をうけているのだ。 おそらく、AI肯定派のウィルとエヴリンにと対局の立場にいる存在なのかも知れない。 それならそれで良いのだが、それにしてはウィルとエヴリンの親友であったり、描き方がどっちつかずではっきりしないので、中途半端になってしまっている印象。どうせなら、実はRIFTを操っている陰のボスだった、くらいの設定なら面白かったかも? また、米軍・FBI・RIFTによる攻撃隊が非常にしょぼい(笑) 人類に対する危機なら、米軍が出張ってくるとか、最後は核ミサイルで町ごと消し飛ばすくらいのほうが辻褄があうような気がしてしまう。 むしろ、ウイルの発明は、軍や政府の上層部からしたら、むしろ続けさせて利用したい技術なんじゃなかろうかと思ってしまう。 FBIのジョセフ達の独断によって握りつぶしたという恰好なのかも? というか、ナノマシンによって身体障碍者が全部治ってしまう技術、簡単に消してしまってよいわけがないでしょう! ウィルが倒れた後、再び盲目に戻ってしまった男性が憐れだ・・・ それどころか、ウイルに改造された兵士をネットから遮断することで無力化(修復不可)状態にして銃撃し重傷を負わせ、『ネットに繋いでくれ、このままでは死んでしまう』(ネットに繋がってないとナノマシンは働かない設定なのか?)と男の懇願を無視して死なせてしまうが、エヴリンに責められた時の言い訳、その言い草がひど過ぎる。 また、エヴリンがまだその場にてウィルと話しているにも関わらず砲撃を始めてしまうとか・・・ 結局、自分の考えを通すためには人殺しも正当化する、FBIとテロリストは同類に見える。 対してウイルは、ナノマシを使って攻撃者を無力化するも、結局誰一人殺さずに終わる。 『やつは誰も殺さなかった』(米軍指揮官) これは、ハイテクに対する恐怖感ではなく、それに恐怖感を感じる人間の愚かさを皮肉った映画なのですね、きっと。 人類と科学技術が対立した結果、人間は電気を失ってしまった・・・ って、それ、語り部になってるマックス博士が作ったウイルスのせいなんですけど・・・???(^^;) コンピュータにアップロードされた人格は、果たしてウイルなのか、別人なのか?という問題があるが、別人を操ってエヴリンに触れようとするウィルを頑なに拒否していたエヴリンが、クローン再生で肉体を復活させたウイルに会った途端、思わず抱きしめてしてしまうのは、人間の業と言う感じで良い(笑) しかし、ウイルはウイルのままであったと誤解が解けるも、ウイルスによって二人とも死滅していくというバッドエンドが、やるせない気持ちを残す。 バッドエンドは好きじゃないなぁ・・・

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