日本は単一の民族と王朝が存続した世界最古の国であり、古く長い伝統文化を持っている。 それゆえに、日本人は無意識のうちに、長い時間積み重ねてきた日本の歴史に誇りを抱き、伝統というものを尊重する心があると思う。
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もちろん古ければ良いわけではなく、形骸化した伝統・格式の弊害も理解している。しかし、新しければ良い/古い者はすべて悪いとは思っていないのだ。 昔からあるルールや形式には、長い伝統と経緯があって、そうなっている何らかの理由があるのだろうから、よく分からない場合はとりあえず尊重しておいたほうが無難であると言う意識が働く事がある。 そして往々にして、それは正しいことが多い。それに、歳をとるほど、経験を積むほど気がついていく。
厚切りジェイソン氏のツイートに以下のものがあった。 『「ルールだから守ろう」という怠けた説明が嫌い。「この理由だからルールなんだ」だと、より守りたくなる。』
「ルールだから守ろう」という怠けた説明が嫌い。「この理由だからルールなんだ」だと、より守りたくなる。
2016年2月24日 — 厚切りジェイソン (@atsugirijason)
このツイートを読んだとき、なんだか良いことを言ってるような、それでいてなんだか納得行かないような妙な気持ちになった。 彼の発言を追ってみて、その人となりが見えて来て、なんとなくその理由が分かってきたような気がする。 それは、彼は、リスペクトするべき伝統文化を持たない若い国から来た人だからなのではないか?! 伝統文化を持たない国から来た彼には、伝統文化を尊重するという意識が日本人よりはるかに小さいのだろう。 また同時に、開拓者魂、つまり自分の力でやるという自立心を非常に強く持ち、オリジナリティを重視する民族性を強く持っているのだろう。 (※いや、アメリカにもそれなりに受け継いできた伝統はちゃんとあると思うが。ただ、アメリカ人には歴史が短い/伝統がないという事がコンプレックスになっていると言う話も聞いたことがある。) そう考えると、彼の言動が理解できてくる。
「温故知新」という言葉がある。 古きものをたずね求め、新しいものを生み出す。 多分、日本人はそのような傾向をより強く持っている。 日本人は、新しいアイデアを生み出す事ができないという話も時々聞く。 しかしその反面、新しいモノを柔軟に受け入れ、取り入れて自分たちのものにしてしまう能力も非常に高いと言われる。 日本人のそのような特性は、そのような文化背景から来ているかも知れない。 日本人は、古く長き偉大な伝統を背負ってこの国にいる。 それゆえに、まず先達を尊重し、そこから学ぶことから始める事に慣れている。 逆に言えば、無から何かを生み出す事には慣れていない部分は確かにあるのかもしれない。
特に意識していなかった事を、外国人から指摘されて新鮮な感覚を覚える事はある。それによって改めて自分たちについて理解が深まるという事もある。 厚切りジェイソンの『わーいじゃぱにーずぴーぽー!!』はそういう意味の新鮮さが面白かったのだと思う。 しかし新鮮味はすぐに薄れて行く。 また、彼の興味深い点のもう一つは、日本びいきの外国人と違って、日本に対する妙な憧れを持っていないところなのかも知れない。それ故に、日本人に対するリスペクトが少ないというのは理解はできる。 「そんな事言いながら、本当は日本の事大好きなんでしょー?」 と言ってやりたいところだが、どうもそうじゃないように見えるフシがあるので、笑えない。 彼は何をしに日本へ来たのか? 日本という土人の国で、冒険して一旗揚げてやろうと思っているのかも知れない。
温めるべき伝統を持たない国から来た青年は、何も持たず、異国の地で、孤軍奮闘しているのかもしれない。 そんな彼の「わーい?」(WHY)が、いつの間にかリスペクトのない批判でしかなくなってしまったとしたら・・・
日本では「異なる意見=相手嫌い」という勘違いが残念だな
2016年2月21日 — 厚切りジェイソン (@atsugirijason)
人は、言葉の裏にある悪意に無意識に気付く事がある。それを感じ取ってしまった者にとって、その「わーい?!」は不快なものに変わってしまうだろう。 彼が今後の舵取りを誤らないか少し心配ではある。 頭の良い彼ならば大丈夫とは思うが。
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