スピーカーシミュレーターの話
PODの話を書いたので、ちょっとシミュレータの話など。
もう20年以上前になるか・・・当時買った機材の中に、ロックトロンと言うメーカーの「ジュース・エキストラクター(Rocktron Juice Extractor)」なるものがありました。「アッテネーター」と言うジャンルですが・・・アランホールズワースのリクエストで開発されたものらしい。
何かと言うと、パワーアンプからのスピーカー出力をアッテネート(減衰)する抵抗器ですが、音量を下げる目的ではなく、ラインレベルの信号を取り出す機械だったわけで。
なんでそんな事をするかと言うと、ギターの暖かみのある、腰のある太いサウンドは、実はパワーアンプを大音量でドライブさせた時に出る音だという事。
どうしてもライン録りなどでプリアンプからの出力を直接録ってしまうと、腰のない線の細い音になってしまう。じゃぁパワーアンプを通した音を取り出せばいいと言う発想。
パワーアンプの出力はあまりに大きすぎるので、抵抗を噛ませて、そこからラインレベルの信号を取りだす。
自宅でその大音量でドライブしたパワーアンプの音ってのを使いたくて、コレを買ったのだけど。
これにはオマケ(?)機能がついていまして。
そのオマケ機能と言うのか、「スピーカーシミュレート機能」だったわけで。
つまり、ギターアンプから出る音を直接耳で聞いた音と、録音されCDになってできた曲の音とは、まったく違う音だったりしますね。
(ライン録りした音とも全く違う。)
つまり、録音の時はマイクをたててスピーカーの音を拾って録音するわけで。そうやって録音した音を再生すると、生で聴く音とはまったく違った音になってしまう。
このシミュレート機能をオンにすると、直接パワーアンプから取り出した音(信号)を、マイクで録った音=CDから聞こえるギターの音にしてくれるというもの。(それっぽく聞こえるように極端なイコライジングが掛かる、と言う感じ)
ギター用のスピーカーシミュレーターって、これが最初だったんじゃないかと思います。
はじめて使った時は、オンにしても、なんか急に耳の中に水でも入って聞こえが悪くなったかのような音になるだけで、最初はなんだか意味が分からなかったんだけど、使ってるうちに段々良さが分かって来て、手放せないものになった。
真空管でなくトランジスタでも、パワーアンプを通っていれば、やっぱり音の張り、腰は全然違いますね。
その後、パルマーのスピーカーシミュレーター(PDI-03)が発売され。ヴァン・ヘイレンも使ってるってコピーでしたね。買いましたとも、もちろん!スピーカーシミュレーターとしてはこっちのほうが断然良い音で、長い間愛用していました。
パルマーにはPDI-05と言うのもあったけど、こちらはパワーアンプを通らずにプリから直接ラインに送るタイプ。当時はパワーアンプ教の熱心な信者だったので、興味はなくはなかったのだけど、結局試す機会がなかった。
あえてギターアンプのスピーカーから鳴らさずに、ラジカセ(死語w)のラインインにつっこんで音をならしていました。それが当たり前になってしまっていたので意識してなかったのですが、ギターを始めた友人が遊びに来た時の、
「やけに音、良くない?」
と言う発言が忘れられません(笑)
・・・
ジュースエキストラクター、パルマー、どちらも、PODを入手してから売ってしまいましたが(笑)
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