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ネックポケットのシムの話(1)

エレキギター
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エレクトリックギターでは、フェンダーが始めたボルトオンタイプのギターが主流になっていますね。

(※ボディとネックがネジ止めになっている。取り外しができるのでデタッチャブルタイプなどとも呼ばれる。)

このボルトオンタイプの場合、外してみると、調整のためにネックポケット(ジョイント部分)に"シム"を挟み込んで、ネックの角度を調整しているものがあります。

今回はこのシムについての経験談


昔はこれ、絶対良くないと言われていました。

ボディとネックの角度(いわゆる仕込み角度)を調整するために薄い木片とか紙とかを挟むわけですが・・・当然、結果としてボディとネックの密着する面積が大幅に減る事になります。

元ディープ・パープルのリッチ―・ブラックモアなどは、ネックとボディの密着度を高めるために、接着剤で固定していたのはマニアの間では有名な話だったと思います。

私も、シムなんか挟んであるのは加工精度の悪い三流の安物ギターと言うイメージがありますね。

こだわりと誇りを持ったギター製作者ならば、シムで調整なんて問題外って言う方が多いんじゃないでしょうか。最初から完全な設計と加工精度があれば必要ないはずですから ─── そもそも、それができなければセットネックのギターなんて作れないわけで。(※実際にはセットネックでも加工精度の悪さを接着剤で埋めて補っているようなつくりの悪いギターもあるようですが。)

そもそも、ボディとネックを途中で接着せずにバラバラに完成させて、最後にボルトで固定するというのは、工場で大量生産するために生まれた斬新な(衝撃的な)アイデアだったわけです。

おそらく、レオ・フェンダーがそれを発明した時、既存のギターメーカーは全員拒絶反応を示したんじゃないでしょうか「素晴らしいアイデアだ!」と言った人は少数派だったんじゃないかと思います。

工場で大量生産するということは、コストダウンが目的です。工場生産にしても精巧な部品を作ることを考えれば良いのですが、それではコストに跳ね返ってしまうので、そこはある程度で妥協して、部品の精度のバラつきを組み込み時の調整で合わせる、と言う発想・・・。

エンジニアならではの発想で、伝統的なギターの制作を学んだ職人気質な人間は眉をひそめると思います。


しかし、時代の変化でしょうか、最近は、それほど抵抗感がない人が多いようです。

実は、私も、このインダストリアルなやり方は、これはこれで有りというか、個人的には嫌いじゃないし、否定もしません。良いものが安く手に入るのは、消費者側にはメリットが大きいですからね。
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ただ、音に影響が出ない範囲では・・・・と言う話で。

実際に科学的に検証したわけではありませんが、ボディとネックに隙間があるって、素人考えでも音に影響がありそう・・・。

☆ボディとネックの接触面積は小さいほうが良い音がする、というのなら、極力接触面積を減らすように、ボルトだけで接合させて、完全に浮かせてしまうような方向に発展させることもできるはずですが、そういうギターが売り出されたという話は聞いた事がありません。

近代のエレキギターにおいては、ボディが特殊な形状をしているとか、新素材でできているとか、ボディがそもそもないとか、色々なギターが試作されてきたと思いますが、その中でイマイチだったものは淘汰されていった部分があるのではないかと思います。

しかし、このシム調整は、フェンダーUSAのそれなりに高いギターでもごく普通に使われていますし、そもそもネジで角度を調整できる機構(マイクロティルト)が付いてるモデルもありましたしね。

いまどきは、シム挟むのの何が悪いの?と言う感覚の人も多いようです。

ネックとボディは密着してたほうが良い音がするなんてただの迷信、「宗教」だととさえ・・・

少し肯定派の方と議論してみたことがありますが、曰く、シムを挟めば音が変わるのは否定しないけれど

「それが良い音になるか悪い音になるかは分からないじゃないか」

と。

なるほど。

そこまで言われると、抵抗はありますが、反論しずらくなってきます。

そういう論法で行くと、ベニヤ板にネックをつけても、良い音がするかどうかはやってみなければ分からないですね。

確かに、意外と心地よい音がする、という可能性はありそうです(笑)

しかし、長い間のギター製作の歴史の中で採用されてこなかったのはそれなりの理由があるんじゃないかとも思うのですけどね。

まぁ音の良し悪しは別として、木を加工する仕事をし、その精度を研鑽しているような職人気質な人間ならば、あまり好まないやり方だろうと思います。かなり思い切りの良い割り切りのできる方なら別ですが、そういう人は職人気質とは呼ばれないでしょうね(笑)

(次ページへ続く)

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