お品書き
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ネックポケットのシムの話(5)

エレキギター
(4)からの続き
(1)ブリッジ側を下げた状態



ちょっと絵が極端過ぎて、ネックとボディのジョイント付近のほうが低くなってしまっていますが(笑)

この状態は現実にはありえませんね。指で弦を押さえた瞬間、弦がハイポジションに接触してしまって音が鳴りませんから。

つまり、ナット・ブリッジは指板面より低くなることはありません。
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ブリッジが指板面より上で、かつ、ブリッジよりナットの位置が高い状態というのは、ありえないわけではありませんが、異常にナット側が高いギターと言う事になると思います。弦を押さえるのにものすごく力が要るし、音程も不正確な、非常に弾きにくいギターと言う事になるでしょう。

(2)ナット側のほうが低い状態

sim03.gif

これが正常な状態ですね。普通のギターはだいたいこの形のはずです。

つまり、まず、ナット側の弦高を限界まで追い込んでから、ブリッジ側を実用の範囲(ビビらない限界)まで下げるのが正しいセッティングの仕方と言う事になります。

ローポジション(ナットに近い部分)よりハイポジション側の弦高が高くなっていますが、構造的宿命ですね。

※理論的には、ハイポジションもナット側と同じ弦高(弦と指板面が並行)になるのが理想ですが、現実には、弦の振幅分は離さなければならないため、どうしてもブリッジ側を少し高くせざるを得ません。

しかし、とにかくナット側弦高を限界まで低く追い込む事ができれば、理想に近づくことができます。(逆に、ナット側の調整をせずにブリッジとシムだけで弦高を下げようとすると、(1)のような状態に近づいて行ってしまいます。)

(3)ジョイントにシムを挟んだ状態

sim05.gif

ちょっと絵が極端で、これまたアリエナイ状態になっていますが(笑)

シムが厚過ぎて、角度がつきすぎてしまったという感じでしょうか。

ナット側よりハイポジション側の弦高が低いということで(1)の状態に近くなっていますね。

(この絵のように指板の延長線上よりブリッジが低い状態まで行ってしまうと音が出ません)。

※ここまで行ってしまうとハイポジションで音が出なくなるので分かると思いますが

ここまではないけれど、シムを入れたらハイポジションだけビビるようになった、と言う場合は、この状態に近づいているかも

つまりその場合は、ナット側が高すぎるか、ネックの反りが異常な状態になっているという事に。

(4)逆方向(上側)にシムを入れた場合

sim04.gif

これはブリッジが低すぎる状態で、かつブリッジをこれ以上高くできない、という場合にとる手段ですが、通常あまりないケースだと思います。

※通常あまりないはず、と思うのですが・・・実際に私が入手したギターの中に、この状態にシムが入ってるモノがありました・・・。試しにシムを外してみたらブリッジ側を限界まで高くしてもビビってしまうという・・・

⇒これは、ネックが異常な反り方をしているか、もともとのネックポケットの加工が悪く、最初から(3)の状態になってしまっていて、シムを入れて(2)の状態に近づけた、と言う事なのでしょうね。

つまり、上図(2)の状態で、もっとブリッジを下げたい(けれどこれ以上下げられない)という時に、シムを入れてネックの仕込み角度を変えて調整することになるわけですね。

sim06.gif

何にせよ、まず本来は、ナット側弦高を最初に調整、次にブリッジ側弦高調整、最後にネックの仕込み角度、と言う事だと思います。

(※実際は、ナット側弦高が高すぎる状態なのに、ブリッジ側を一生懸命調整して、結局改善できず→シム調整をやってみる、と言うケースが初心者には多いのではないかと思います。)
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ここまで読んでみれば、当たり前の事しか書いてないと思います。

ちゃんと理解して適切に調整できれば良いですね。

ただ、シムによる調整は、先述の可動式フレットと同様、あくまで技術的な観点からの調整であり、その結果どんな音に変わるかはまた別問題です。

まぁ、エレキギターの場合はアンプやエフェクター等、機材の要素も非常に大きいので、シムを入れたか入れてないか、聴いている側には違いはまったく分からないとは思いますが。(弾いている側には分かるかも知れません。)

これらはネックがまっすぐであるという前提の話ですが。

もしネックの反りが許容範囲を超えていて、そのために調整が必要だとしても、それは仕込み角度で凌ぐのではなく、できればネックの反りを改善するのが正しい対処法でしょう・・・。

☆仕込み角度が変わると、「"テンション"が変わるのだ」と言う説があります。説と言うか、そりゃ弦とパーツの接する角度は、各部で微妙に変わってきますよね。

これによってテンションを調整しようという向きもあるようですが、テンションの調整のためにしては、シムを挟むのは影響が大きすぎる気がするので。(テンションは、相当大きく変えても、経験上、大した違いはないような気が個人的にはしています。)

テンションに関しては、これも色々な議論があるようで、また、都市伝説的な誤解も多いような気がします・・・

よく、プロの製作者の方が語る「テンション」と、アマチュア(特に初心者)の方が気にする「テンション」は別のものなんじゃないかと思います。

☆もうひとつ、ここまではネック上での弦高についての話でしたが、ボディと弦の距離の問題もあります。

さて、弦とボディは離れていたほうが良いのか、近いほうが良いのか・・・???

なんとも言えません・・・

共鳴胴とサウンドホールがあるアコースティックギターなら、あまり離れていないほうが良いような気もしますが・・・サウンドホールが弦の下にないタイプもありますので、関係ないか。

三線や三味線はサウンドホール自体ないですし。共鳴板(ボディトップ)に振動を伝えるのはブリッジ部分で、サウンドホールは共鳴箱から音を放出する役割でしかないようですね。

(試しに完全に密閉された木箱状態の、サウンドホールのないウッド三線を作って見たことがあるのですが、音が非常に小さく、共鳴箱の意味がありませんでした・・・)

ソリッドボディのエレキギターの場合・・・たとえばセットネックのレスポールとボルトオンのフェンダー系ギターでは、レスポールのほうが弦とボディの距離は遠いですが、その部分の違いによる影響はこれだ、と実感できるような事はありませんね。

ストラトとレスポールだと、レスポのほうが「鳴りやすい」ような気が個人的にはしています。

が、それは弦高以外に、構造的に違う部分が多すぎますので、なんとも言えないですね。

そういえばストラトで、ボディとの弦の距離を大きく広げたタイプって、弾いたことないなぁ(笑)

※構造的に難しい。ネックポケットにネックプレートを挟んだ事はある。非常にテンションがきつくなった印象だったけど、初心者の頃の感覚なので、当てにならない・・・ハーモニクスを使ったアーミングが特徴的なブラッド・ギルスが同様の事をしていたと思いますが、ハーモニクスは鳴りやすくなるのかも?(彼の場合はボディ全体をエポキシで固めてしまってるという話も聞いたことが。)

一つ言えるのは、ボディと弦が近すぎると、ピックでボディに傷をつけやすくなるのは間違いなしでしょう(笑)

※ナット側弦高調整の話はこちらへ…

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