ここに一台の変わったピアノがあります。 パッと見て、気持ち悪いですね。そう、黒鍵がないのです。 このピアノは、黒鍵をすべて白鍵と同じ色・大きさにして、横一列に並べてあります。 普通のピアノは、白い鍵盤だけを弾くと、ドレミファソラシドと鳴るようになっていますが このピアノは半音ずつ均等に、順番に並んでいます。
さて、このようなピアノを前にして、ドレミファソラシドを弾いてみましょう。 「ドの位置はどこ?」 ⇒どこでもいいです、好きなところからどうぞ。 誰でもドレミファソラシドの音をゆっくり鳴らすことはすぐに出来るでしょうね。 このような配列になります。
ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
ミとファ、シとドの間だけ隣同士連続で、ほかは一個跳ばしにすればOKですね。
スタートはどこでも構いません。どこから始めても、この順番(配列)から外れない限りは、ドレミファソラシドが聞こえるはずです。
ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ |
ここで、分かりやすく、ドレミファソラシド以外の使わなかった鍵盤は、色分けしておきましょう、と。
ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ |
さらに、黒く塗った鍵盤は、どうせ使わないのだから、邪魔なので後ろに下げてしまいましょう・・・ と言う事で、現在の黒鍵が細めになって後ろに下がっている、現在の鍵盤の形になるわけですね。
余談ですが、よく使うキー(鍵盤)に色をつけたほうが分かりやすくね?と思いますが、そう言えば、ピアノの先祖であるハープシコード(チェンバロ)という楽器は、今とは鍵盤の色が白黒逆だったんですよね。もしかして、そういう理由?(^_^;) ⇒違うらしい
ただ、ここで問題がひとつ生じますね。 先程、「ドはどこですか?」と訊かれた時に、「どこでもいいです。」ということで始めてしまいましたので、人によって、スタートした場所が違っているはずで。 一人で弾く分には、どこからスタートしても問題ありませんが、他の人と一緒に演奏しようとした時に、どこから始めたかを確認しておく必要があるわけです。 そこで、「Cから始めたよ」という場合は「Key of C」(日本語で言うと「ハ」から始めた長調でハ長調)などと書くわけですね。 (※英語だとCDEFGAB、ドイツ語だとアベツェーデーエーエフゲー、日本語だとハニホヘトイロ、イタリア後だとドレミファソラシドですね)
余談その2ですが、現代のポピュラーミュージックは英語表記が普通ですが、近所の音大出の人と話をしたときに、私は「A(エー)」と言ったつもりだったのを、「E(エー)」(ドイツ語読み)だと勘違いされて行き違いが生じた事がありました。 そうか、西洋クラシック音楽はドイツが主流ですから、ドイツ語で勉強しているのですね?(そう言えば、音楽の父、バッハはドイツ人でしたね。)
※音名と階名
実は、イタリア語で書くと、ややこしくなります。 音名と階名は違います。 が、イタリア語ではそれが同じ、どちらも「ドレミファソラシド」になってしまいますので・・・(笑) なので、日本の場合は、分かりやすくするために、音階(階名)をイタリア語のドレミファソラシドとし、音名を英語表記のCDEFGABとした方が良いんじゃないかと思います。 (個人的には、和名のハニホヘトイロは、今の時代にはもはや必要ないような気がしますが、異論は認めます・笑) 分かりやすく言うと、先程、どこから始めても「ドレミファソラシド」になるよ、と言いました。この「ドレミファソラシド」が階名です。 で、じゃぁ「どこから始めたの?」と尋ねたら、 「ドからだよ!」 「だからどこのドさ???」 「ここのドだよ、左から○番目」 あるいは 「この高さ(周波数の)の音をドにしたから合わせて!」 とか、ややこしいことになりますので(笑) そうならないように、ドレミファソラシド(階名)とは別の名前(音名)をつけて、それぞれの鍵盤の音の高さ(周波数)を決めているわけですね。
鍵盤 番号 | 周波数 (Hz) | 音名 |
---|---|---|
1 | 27.5 | A1 |
2 | 29.135 | A1#/B1♭ |
3 | 30.868 | B1 |
4 | 32.703 | C1 |
5 | 34.648 | C1#/D1♭ |
6 | 36.708 | D1 |
7 | 38.891 | D1#/E1♭ |
8 | 41.203 | E1 |
9 | 43.654 | F1 |
10 | 46.249 | F1#/G1♭ |
11 | 48.999 | G1 |
12 | 51.913 | G1#/A1♭ |
13 | 55 | A2 |
14 | 58.27 | A2#/B2♭ |
15 | 61.735 | B2 |
16 | 65.406 | C2 |
17 | 69.296 | C2#/D2♭ |
18 | 73.416 | D2 |
19 | 77.782 | D2#/E2♭ |
20 | 82.407 | E2 |
21 | 87.307 | F2 |
22 | 92.499 | F2#/G2♭ |
23 | 97.999 | G2 |
24 | 103.826 | G2#/A2♭ |
25 | 110 | A3 |
26 | 116.541 | A3#/B3♭ |
27 | 123.471 | B3 |
28 | 130.813 | C3 |
29 | 138.591 | C3#/D3♭ |
30 | 146.832 | D3 |
31 | 155.563 | D3#/E3♭ |
32 | 164.814 | E3 |
33 | 174.614 | F3 |
34 | 184.997 | F3#/G3♭ |
35 | 195.998 | G3 |
36 | 207.652 | G3#/A3♭ |
37 | 220 | A4 |
38 | 233.082 | A4#/B4♭ |
39 | 246.942 | B4 |
40 | 261.626 | C4 |
41 | 277.183 | C4#/D4♭ |
42 | 293.665 | D4 |
43 | 311.127 | D4#/E4♭ |
44 | 329.628 | E4 |
45 | 349.228 | F4 |
46 | 369.994 | F4#/G4♭ |
47 | 391.995 | G4 |
48 | 415.305 | G4#/A4♭ |
49 | 440 | A5 |
50 | 466.164 | A5#/B5♭ |
51 | 493.883 | B5 |
52 | 523.251 | C5 |
53 | 554.365 | C5#/D5♭ |
54 | 587.33 | D5 |
55 | 622.254 | D5#/E5♭ |
56 | 659.255 | E5 |
57 | 698.456 | F5 |
58 | 739.989 | F5#/G5♭ |
59 | 783.991 | G5 |
60 | 830.609 | G5#/A5♭ |
61 | 880 | A6 |
62 | 932.328 | A6#/B6♭ |
63 | 987.767 | B6 |
64 | 1046.502 | C6 |
65 | 1108.731 | C6#/D6♭ |
66 | 1174.659 | D6 |
67 | 1244.508 | D6#/E6♭ |
68 | 1318.51 | E6 |
69 | 1396.913 | F6 |
70 | 1479.978 | F6#/G6♭ |
71 | 1567.982 | G6 |
72 | 1661.219 | G6#/A6♭ |
73 | 1760 | A7 |
74 | 1864.655 | A7#/B7♭ |
75 | 1975.533 | B7 |
76 | 2093.005 | C7 |
77 | 2217.461 | C7#/D7♭ |
78 | 2349.318 | D7 |
79 | 2489.016 | D7#/E7♭ |
80 | 2637.02 | E7 |
81 | 2793.826 | F7 |
82 | 2959.955 | F7#/G7♭ |
83 | 3135.963 | G7 |
84 | 3322.438 | G7#/A7♭ |
85 | 3520 | A8 |
86 | 3729.31 | A8#/B8♭ |
87 | 3951.066 | B8 |
88 | 4186.009 | C8 |
(まぁ、英語でなくても、イロハニホヘトでも良いわけですが。) とりあえず、日本においては、階名については「ドレミファソラシド」、音名については「ABCDEFG」という風に使い分けると分かりやすいんじゃないかな、と思います。
さて、どこから始めてもドレミファソラシドになりますが、一般的なピアノの鍵盤は、スタート地点が決まっています。鍵盤は通常、どれも「C」を「ド」として不要な鍵盤を黒鍵として引っ込めてあります。 つまり、Cから始まるドレミファソラシド(Cメジャー/ハ長調)しか弾けない仕様になっているのです。 (この場合のドレミファソラシドの「ド」の事をキー(または調)と言います。) いや、弾けますけれど、違うキー(調)のドレミファソラシドを使うためには、引っ込めてしまった黒い鍵盤を使うしかなくなるわけで。ゆえに、鍵盤楽器は、Cメジャー(またはAマイナー)以外のキーの曲を弾くのは難易度が上がってくるわけです。(覚えてしまえばどうと言う事はないのでしょうが。)
ドレミファソラシドは、「C」以外の好きな場所からでも始められます。 通常、五線譜に#や♭などの記号が何もついていない状態では、下記のようにドレミファソラシドが並んでいると教わったと思います。 そう、五線譜もまた、黒鍵を使わない時の状態にあわせて作られているのですね。 ※[KEY = C / Cメジャー / ハ長調]
これに、シャープを一個追加すると・・・ 実はこうなります。 [KEY = G / Gメジャー / ト長調] そう、ドレミファソラシドは同じですが、スタートする位置が違うだけ、なんですね。
もう一個、#を付け足すと [KEY = D / Dメジャー / ニ長調] このように、キーがCで固定されている楽譜にも、#やフラットを付け加えて配列を変えてやることで、色々な場所からスタートしたドレミファソラシドが表記できるようになっているのです。
#3つ [KEY = A / Aメジャー / イ長調]
#4つ [KEY = E / Eメジャー / ホ長調]
#5つ [KEY = B / Bメジャー / ロ長調]
五線譜が出てくると分からんわ!という人も、鍵盤にしてみると分かりやすいかと。 [KEY = C / Cメジャー / ハ長調] [KEY = G / Gメジャー / ト長調] [KEY = D / Dメジャー / ニ長調] [KEY = A / Aメジャー / イ長調] [KEY = E / Eメジャー / ホ長調] [KEY = B / Bメジャー / ロ長調] どこから弾いても「ドレミファソラシド」と聞こえる。 不思議な気もします。 しかし、黒鍵を下げないで全部横一列に並べた鍵盤から、「ドレミファソラシド」と聞こえる鍵盤だけを抜き出しているだけ、と理解できていれば、不思議はないですね。 ただ、スタート地点の「ド」の高さが違うだけ。
なぜ、高さを変える必要があるか?それは、カラオケに行ったことがある人なら分かりますよね。自分にはこの歌は高すぎて出ない(あるいは低すぎて歌いにくい)、という時に、音を上げたり下げたりする機能がありますね、あれです。 人によって出せる声の高さ・低さには限度があります。楽器も同じ、楽器によって出せる音の範囲は決まっていますので、ある楽器によって作られた曲を、別の楽器で演奏しようとしたときに、その範囲を合わせる必要があるわけですね。
つづき #6個(※ここから「ド」が黒い鍵盤になりますね) [KEY = F# / F#メジャー / 嬰ヘ長調]
#7個 [KEY = C# / C#メジャー / 嬰ハ長調]
#(半音上げ)だけで表現しきれないので、今度は♭(フラット=半音下げ) ♭1つ付くと… [KEY = F / Fメジャー / ヘ長調] (※Fメジャーだけは、#では表記できませんね)
♭2つ [KEY = B♭ / B♭メジャー / 変ロ長調]
♭3つ [KEY = E♭ / E♭メジャー / 変ホ長調]
♭4つ [KEY = A♭/ A♭メジャー / 変イ長調]
※ここまでで、ドから1オクターブ上のドまでの半音12個分を全て網羅しましたね。 此処から先は、例えば「♭5つ」だと [KEY = D♭ / D♭メジャー / 変ニ長調] これは「C#」と全く同じものですね。「C#」=「D♭」ですからね。音的にはまったく同じものになります。 ただ、表記上の問題で、♭を使って記述していた楽譜にいきなり#が出てくるとか#ばかりの楽譜にいきなり♭が出て来るとかだと見にくくなるので、どちらかに統一して書く、と言うような意味あいで使い分けられているよう
オマケにもひとつ「♭6つ」 [KEY = G♭ / G♭メジャー / 変ト長調] これはF#メジャーキーとまったく同じですね。
この、楽譜の初めに書いてある#や♭を「調号」と言いますが、これは、実はどこがドだよ、と指示ているだけなのですね。 なので、調号を見て、どこがドなのかが分かってしまえば、あとは白い鍵盤だけで同じ曲を弾いてしまう事ができますね。(特殊な和音を使ってる等の場合を除いて) 自動的にCメジャー(ハ長調)に転調して弾いている、と言う事になるわけです。 それでも自分一人で弾く分には何も問題がないわけですね。 ただ、歌いながら弾くとなると、自分の声の出る範囲に合わせるために、何音か上げたり下げたりする必要が出て来る場合があります。そうなるとやっかいですね(笑) でも、最近の電子ピアノやキーボードなら、トランスポーズという機能があります。カラオケのキーを変えるのと同じ機能ですね。これを使えば、黒い鍵盤を使わずに弾くことはできますね。 実際、バンドで演奏するときにギタリストが「半音下げ」でとかやることがロック・メタル系では当たり前にあるわけですが、そんな時、キーボード奏者の人は弾き方を変えるのではなく、練習してきた同じ弾き方で、トランスポーズ機能を使うのが普通だと思います。 ナマのピアノの場合はそうは行きません、転調されちゃった場合は、がんばって黒い鍵盤を使って弾きます。 大変ですね(^^;)
※このような解説は、ちゃんとピアノの勉強をしてきた人に向けてのものではありませんので、あしからず、ご了承下さい。 音楽の授業がよく分からなかったという人が、大人になってから少し音楽を理解してみたい、と言う時に、役にたてば、と言う事で。。。
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