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グレイシー柔術は極めて合理的、そこに「極意」はない

スポーツ・武道
少しだけ、某所でブラジリアン柔術(グレイシー柔術)を教わったことがあります。

「齧った」とも言えない程度ですが。

しかしそれでも、目から鱗が落ちまくる、衝撃的な内容でした。今の日本にはないものだ、これでは勝てないわけだと思いました。

日本で極意的な技というと、言葉で説明できないようなものが多いですね。

良い事例がすぐに浮かびませんが、例えば、薪割とか。

鉈を振り下ろして薪を割る。

日本の「極意」の話は、その鉈の振り下ろし方が、達人と素人では違うのだ、となる。

握り方、握るときの力の配分やタイミング、腕の振り下ろす角度、力の緩急のタイミング、姿勢、立ち方、重心etc etc…(さらには脳科学的な分析によると、脳内の神経ネットワークにも特有の変化が生まれるのだとか。)

そういうのは、なかなか説明しにくいし、身に付けるまでに長い修錬が必要になる。仮に知識として知っていたとしても、「体得」するためには長い時間の訓練が必要となる。

そうではなくて、薪には木目があって、その方向に沿って刃を入れてやると割れやすい、というのは極意というより単なる知恵・工夫、技術ですね。知らないとできないけれど、知っていれば誰でもそれほど長期間の修錬に耐えなくともできる。

日本では、あらゆる業種において、日本では前者の「極意」が神話化・神聖化されているような気がします。

それは間違いではないのですが、多くの人が身に付けられる者ではない、長い修錬を経て、才能のある一部の者が身に付けられるというもの(だから価値があるわけですが)

しかし、知恵と工夫で補える部分も多々あるのも事実で、あまり不必要に極意にこだわるのも、いろいろ弊害があると思うのです。

人間、すべてのジャンル・領域において、極意を極めることなどできないのですから。。。

格闘技においても同様です。打撃系格闘技は反射神経の勝負みたいなところがあるので、どうしても「極意偏向」の傾向は強くなりますが、柔術というと絞め技や関節技が主なわけで、あまり反射神経は関係ないようにも思えるのですが。

しかし、日本の寝技系格闘技でも同様の傾向はあって、いかに瞬間的に関節技を"極める"かの「極意」を重視したりします。

腕の関節技を掛けて、しばらく揉み合いの時間があり、ようやく極めて相手がギブアップ。

⇒『いやそんなのは未熟だ、本当に上手く技が極まれば揉み合っている間も無く一瞬で相手がギブアップするものだ。』

という感じ。。。

しかし、グレイシー柔術では最初から観点が違いました。


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重視するポイントは、自分が絶対有利なポジションをキープすること、それが9割以上。 そして、ポジションを完全に制圧し、確保したら、そこから、1時間でも時間をかけてゆっくり関節を極めればよい、という姿勢(思想?) だから、彼らの試合では、ポジションの奪い合いによってポイントが入ります。マウントポジションをとったら1ポイント、マウントを脱したら1ポイント、みたいな?(ポイント配分等、正確には知りませんが)レスリングに似ていますね。 そして、それが試合において、極めて効果的なのは、ブラジリアン柔術出身の選手が格闘技界において高いレベルを維持しているのを見てもわかります。 日本の柔道ほか、寝技系格闘技において、あまりこのような技術は聞いたことがありません。 いや、私が知らないだけであるのかも知れませんが・・・ でも、ないような気がしますね、やっぱり。 日本の柔道出身の格闘家と、グレイシー柔術の格闘家の試合を見てると・・・ 私がグレイシーで教わった一番最初の技術、最も初歩的な技術、それに引っかかって何度も倒されてる・・・五輪で金メダルを取ったような柔道家が・・・(・ω・;) 「極意」ではないです、知ってれば誰でもできるし、引っかからない。しかし、知らないと、メダリストでも引っかかってしまうようです。 初歩しか教わっていませんが、グレイシー柔術には、「極意」はないように感じました。 そうではなく、技術=「知恵と工夫」。 ただし、私が教わったの最初の6つくらいの技ですが、その「技」がその先、200手300手と延々と続くわけです・・・ 一つでも「防ぎ方」「返し技」を知らないものがあると、やられてしまいます。 それを全部習得するのは、学校の勉強のように、何年もかかるでしょうね・・・(^^;) 一つの技があったら、それに掛からないようにするための工夫、そこから脱出するための技術、そこから脱出させないための技術、などなどなど、新技開発のイタチごっこみたい、とも言えるかもしれませんね。 面白いのは、以前、日本の格闘家・平直行氏が言っていたのですが、「知らない技はグレイシーでも簡単に掛かる」のだそうです。 彼は有名な日本の格闘家・ビクトル古賀氏に師事してサンボを教わっていたのですが、サンボにあってブラジリアン柔術にない技というのがやはりあったっそうで、それを掛けるとグレイシーの上級者が簡単に引っかかって「まいった」してしまうことがあるのだとか。 当然、その技は学習され、防御手段が開発されていくわけで・・・うーん、イタチごっこ。 むしろ、やってることは将棋に似ているかも?一生かけて研究していくのには、とても面白いゲームだと思いますが、簡単に全てを学習することはできなさそうですねぇ

面白いなぁと思うのは、このような技術体系を作った創始者は、日本人の柔道家、前田光代であったということ。前田光代は講道館柔道の四天王の一人だったとかなんだとか、あまり詳しいことは知らないのですが(笑)、日本の柔道家がブラジルに渡り、広め定着していったのが今のブラジリアン柔術であったということ。

つまり、日本の柔道にもかつて、同じようなベースの技術や思想があったのかも?

分かりません、前田光代がブラジルに渡ってから開眼した極意(笑)なのかもしれませんしね。

日本には、高専柔道という、現在の立ち技がメインの柔道とは違う、寝技がメインの柔道があるのだそうで。私はそちらのほうはまったく知らないのですが、もしかしたら、そこにはグレイシーに匹敵するような技術があるのかもしれませんね。

しかし、それもまた、日本古来の古武術系柔術ともまた違うでしょうね。

日本の武道には長い歴史があるので、世界が広くて、すべてを学ぶのは難しいなぁと、つくづく思います(笑)

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