反体制派の矛盾で書いてみたら、政治の問題って、ほとんどが「財源の問題」なのだな、と言う事が分かってきましたが。 「税金をなくします」とか 「教育と医療を無料にします」とか 「借金をチャラにします」とか その他もろもろ、夢のような公約?を提唱している候補が居ると聞きました。 また『その候補者が提唱している経済理論は正しい』と主張する人が少数派ですがあるようです。 まぁ、そういう方々は 「あの候補の経済政策は正しい」 とは言いますが、具体的にどんな経済政策なのかはあまり言ってくれない人が多いので、よく分からなかったのですが(笑)
ということで、財源をどうするつもりなのか、その候補者の公式サイトを見てみたところ・・・ 財源は 「国債を発行する」 とのこと。。。 え!? ちょっと驚きました。 これまでさんざん、日本は借金まみれだ!と野党マスコミから批判され続けていたのに?! 自分はどうするかと訊かれたら、財源は国債発行しますって・・・ (その候補者も以前は日本が借金まみれなのを批判していた事もあったように思うのですが、記憶違いかも知れません。)
大雑把に言うと、現在、国家予算は一年間で100兆円必要なんだとか。そして、税収は50兆円しかない。(さらに言うと、そこから公務員の人件費で25兆円が使われている。) 足りない分の50兆円はどうしているの?⇒国債を発行して補っているのだそうで。 毎年毎年50兆円もの国債発行、国債というのは借金ですから、いずれ期限が来たら返済しなければいけない(それも利子をつけて) その時は、さらにそれを上回る国債を発行して補填すると。。。 それじゃぁ自転車操業の火の車。経営が苦しいから借金をして、借金返済のために借金をして、借金が年々増えていく悪循環経営みたいに見えますよね。 それでは批判されるのも理解できます。
ところが、件の候補者の経済政策、経済理論によると、「国はいくら借金をしても大丈夫」なんだそうです。 これは、MMTという経済理論で、今アメリカでもその理屈を持ち出す議員が出て論争になっているのだとか。 MMTというのはモダン・マネタリー・セオリーの略 なのでMMT理論と言ってしまうと、セオリーが理論という意味なのでリロンリロンになってしまいますので注意しましょう(笑) 私もちゃんと理解できていないですが ものすごくザックリ説明してもらったところによると、「お金を発行する権限を持つ者は、いくら借金しても問題ない」と言う事のようです。 例えば、会社の経営が行き詰まって、借金をしました。借金はどんどん大きくなります。 でも大丈夫、その会社にはお金を印刷する機械があったのです! 借金取りが来たら、お金を印刷して渡せばいいじゃない! ※偽札ではありません、それは公式に認められたもので合法です。つまりこの会社は造幣業なわけですね(笑) なるほど・・・国の借金は、いくら増えても破綻することはないわけですね! いやいやいや。何かおかしいような・・・????
国が紙幣を大量に発行してしまうと、「インフレ」が起きます。お金が大量に出回ってしまったことで、貨幣の価値が下がってしまうわけです。 それにより、物価の上昇が起きるわけです。
アンパンが一日につき10個売られているとします。 それを欲しい人間が10人居るとして。 アンパンは1個100円としましょう。 お金は一人100円づつしか持っていません。 しかし、アンパンを一日1個では足りない、自分は三個食べたいという人が出てきます。 そうだ、お金がもっとあれば良い!と言う事で、お金を作ってしまいました。 そして、自分は300円払うからアンパンを三個売ってくれと言う。 ところが、お金がいっぱい作られたため、他の人も300円出すと言い出しました。 アンパンは10個しかありません、欲しい人は10人います。 そこで、アンパン屋さんは、アンパンの価格を1個300円に値上げしました。 こうして、需要と供給と貨幣の量に応じて、物価が上昇していくわけですね。
政府がどんどんお金を発行すると、どんどんインフレが進行していく可能性があるわけです。 これが急激に進むとハイパーインフレと言って、1個100円のリンゴが、1年後には231億円になっているという異常事態が発生します。(ジンバブエの事例が有名ですね。)
と聞くと、とんでも理論ような気がしますが、これが最新の経済理論で、海外でも高く評価されつつあるのだとか。 提唱しているのはステファニー・ケルトンという経済学者だそうです。
日本の巨額債務「問題なし」=消費増税を批判-MMT提唱者:時事ドットコム
「自国通貨を発行できる国は、低インフレ下ならいくら借金をしても問題ない」という「現代金融理論」(MMT)の提唱者、ステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は16日、日本が抱える巨額の公的債務について「問題があるならインフレという形で具現化されるはずだが、一切その兆候は見られない」と述べ、懸念する必要はないと訴えた。東京都内で講演した後の記者会見で語った…
www.jiji.com
実は、経済というのは、自然に少しずつ物価が上がっていくのは当たり前の現象なのだそうで。 (この辺、なんど聞いても経済は不思議な感じがしますが) 極端に急激な上昇は困りますが、低率のインフレ状態のほうが、経済は成長していく健全な状態なのだとか。 MMTでも、デフレ~低インフレ状態である限り、国の借金が増え続けても問題ない状態である、と言う事のようです。 なるほど。 明治初期の政府の負債は三千万円程度。現代の負債額は1100兆円。37400000倍に膨れ上がってる。 けれど、物価も上がっているので、それは正常な状態であると。 国が借金をし続ける事で、弱インフレ状態で経済成長が続いていくのが健全な経済であるとの事らしいです。
某候補者の経済理論が正しいと主張している方々は、このMMTを根拠にしている、と言う事は分かりました。 ただ、 『国債という振れば無限にお金が出てくる「打出の小槌」があるのだから、どんどん贅沢しましょう!』 というのは、やっぱり、何かおかしい気がしてしまいますよね。 そんな事では、いずれ破綻する事になるのでは?と、健全な感覚の持ち主なら不安になるのは当たり前だと思うのです。 予算が足りないからと、どんどん再現なく国債発行していったら、これまでよりはるかに速いペースで国債による負債額が増えていき=インフレが加速していく気がします。 現在税収が50兆円しかなくて、国家予算は100兆円必要で、50兆円は国債に頼っている状況で。 国債を3倍発行して国家予算を200兆円にして、教育も無料、医療費も無料、国民全員公務員にしましょう。 それどころか、働かなくて良いように、国民全員にお金を配布します、とやったら? それでもMMT理論では破綻しない、大丈夫なんでしょうか???
アメリカ政府も、MMTを元にした主張に対して『MMTは万能薬ではない。国の債務が増えていくのは問題がある』とコメントしています。 「国債は、無限にお金が出てくる打出の小槌、いくら贅沢しても大丈夫」 ではないはず、だと思うのですが。 MMTでも際限なく借金可能と言ってるわけではなく、何かしら条件とか制約があるのだと思いますが。 その制限を超えた後はどうするのですか?一気にそれまでのツケが来るのでは?
山本太郎さんは消費税をなくして年金も減らすの?
選挙が近づいてきて、政治家のみなさんがバラ色の約束をするようになりました。中でもわかりやすいのは、山本太郎さんの「消費税の廃止」という公約ですが、8%の消費税をやめると18兆円の財源がなくなります。 国民年金(と基礎年金…
agora-web.jp
MMTを正しいと主張する人たちは、相手にされなくてヘソを曲げているのかも知れませんが、 「経済が分からんバカどもは黙ってろ」 とでも言うような暴言が多く見られます。 しかし、本気でMMTが正しいと思うのなら、人をバカにしたような態度を取らず、経済のド素人にも分かるように、なぜ大丈夫なのかを説明してほしいですね。 多くの有権者はMMTなんて聞いたこともないでしょう。その人達に分かりやすくちゃんと説明しないと。 「政府与党がMMT理論に基づいてバラマキ政策を行わないのは、政府御用の経済学者が古い理論に凝り固まって頭が硬いからだ。」 ということのようですが、際限なく借金しても大丈夫と言われて、素直に信じられる人が少ないのは当然ではないかと。どう大丈夫なのか、どういう条件や制約があるのか、きちんと丁寧に説明しないと、支持は増えないでしょう。。。
MMT理論の説明で、何かおかしいと思う点 「国債を発行し続けても大丈夫」 「借金が増え続けても低インフレ状態であれば大丈夫」 は良いですが 「国は紙幣を発行できるのだから、絶対に破綻しない。」 っておかしくないですか? だったら、国債なんか発行しないで、どんどん紙幣を印刷してそれを直接国家予算に使えばいいんじゃないかと思ったり。。。 なんでわざわざ借金の形をとるのでしょうか? 借金を際限なくしておいて、いざとなったら?紙幣を印刷して支払ったら、その瞬間からインフレを生み出す事になるわけで 低インフレなら大丈夫の前提なのに、高インフレ状態を生み出して、もうその時点でMMTの条件を満たさなくなるような。 高インフレになってしまった後は、どうするのでしょう? 再び低インフレに戻すまで、それまでの大きなツケを払わされる事になるのでは? そもそも、MMTについて勘違いがあるという説もあるようです。(MMTは異端の経済学・笑)
MMTが間違った政策提言を導き出しているワケ | 読んでナットク経済学「キホンのき」
安倍総理は、国会での質問に答えて、MMT(現代金融理論:Modern Monetary Theory)の提唱する政策を行っているわけではない、と述べたと報道されている。筆者は提唱者の一人であるL・ランダル・レイ(ミズーリ大学…
toyokeizai.net
そもそも、選挙のときの公約などというものは、守らなくても何のペナルティもありません。 ましてや、与党になる可能性のほとんどない弱小政党の候補者は、どんな良い政策を訴えようと、それを実行する立場になることはないわけです。 そのような人に投票しても、死に票になるだけな気がします。 本当に良い案があるなら、政府与党の議員にそれを伝えて、実現してくれるように働きかけるほうがよほど現実的でしょう。
「慢心している政府与党に反対の意志を伝えるため」 「与党にお急を据えるため」 というような、安易な発想だけでの投票は止めたほうが良いように思います。 過去の事例を見ていて、そのようなケースで良い結果が出た試したないように記憶していますので。 (そのようなケースでの、最悪の事例が、民主党政権誕生でした。民主党に投票した人で、「まさか政権後退しちゃうとは思わなかった」という人が結構居たとかいなかったとか・・・?)
別に、与党への投票を奨めているわけではありません。 安易でない、よく勉強して、よく考えた上で、責任感を持っての投票であれば、どこに投票するのも良いと思います。 ただ、雰囲気とか、格好良いからとか、フィーリングだけで決めるのは危険だと思うわけで。
実は、役者出身の政治家は昔から多いです。 役者というのは、覚えたセリフを淀みなく滔々と語る、情熱的に、感動的に表現することが職業柄得意なので、政治の世界では、人々への訴求力が強いわけです。 口下手、演説が下手だけど、真面目でよく考えている政治家より、芝居がかった演説に惹かれるという人は多いかも知れません。 世の中、悪いやつほど甘い言葉を囁くもの 誠実な人間ほど、実現できない夢物語を約束できないもの。 そもそも、選挙のときの公約などというものは、守らなくても何のペナルティもありません。 当選した後、まったく正反対の事をするかも知れない。 その候補者がどんな人間なのか、見極めるのは難しいですが・・・
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